”Search Inside Yourself”という本を読了しました。
Google社の社員研修として実践されている、マインドフルネスに関するお話です。
内容はさすが天下のGoogle社といったところで、「今この瞬間に集中し、充実した人生を送るためのヒント」が随所に書かれていました。
今回はその中でも、私にとって特に響いたものを一つ紹介します。
それが、「感情と反応を分ける」というテクニックです。
感情の起伏を少なくして、穏やかに日々を過ごしたい方におすすめです。
感情は生理現象の一つに過ぎない(My emotions are not me.)
私たちは、感情を自分そのものであるように見なす傾向があります。
”Search Inside Yourself”の中で紹介されていた、以下のような文が典型的です。
I am happy.
I am angry.
英文法的には、これらは「第2文型(SVC)」と呼ばれます。
多くの文法書で、この文型の特徴は「S (主語)=C (補語)」の関係が成り立つことだと解説されています。
これに従って「私=幸せ・怒り」であるとすれば、感情が生じた時点で、それに続くポジティブ or ネガティブな反応も不可避のように思えます。(日本語の「私は幸せだ」といった文も同様です)
しかし、”Search Inside Yourself”によると、両者は分離可能とのことです。
感情とは「私たちが経験する生理現象の一つ」に過ぎず、「それに対してどう反応するか」の決定権は、私たちが持っているのです(!)
瞑想の訓練を積んで、自分の身体面や心理面の変化を敏感に察知できるようになると、怒りを感じた時も”I am angry.”ではなく”I experience anger in my body.”(体の中で「怒り」という感情を経験している)という思考になるそうです。
例えるなら、思考や感情は「空に浮かぶ雲のようなもの」で、美しい雲もあれば暗い雲もあり、それらは浮かんでは消えゆくものです。
私たち自身は「空そのもの」で、そこに存在する雲によって何ら影響を受けるものではありません。
数年前に読んだアンガーマネジメントの本を思い出しました。
「怒りを感じたら、とりあえず6秒待て」という比較的有名なルールがありますが、これも「感情と反応を分ける」ためのテクニックですね。
日常のあらゆるシーンで実践する
私自身は負の感情や過去の失敗経験を引きずるタイプで、嫌な感情・思考が一度生じたら、しばらくは憂鬱になるということを繰り返していました。
今から約5年前に新婚旅行に行った際、直前に仕事で発生したネガティブな出来事が頭から離れず、旅行を存分に楽しめなかったという苦い経験もあります。
そのため”Search Inside Yourself”でこの話を読んだ時、私は衝撃を受けました。
同時に、このテクニックをマスターすることが、充実した人生の鍵を握ると確信しました。
これ以降、日常の中のあらゆるシーンを、「感情や刺激と、それに対する反応を分ける」ためのトレーニングの場と見なすようになりました。(やや極端な人間であることは自覚しています (^^;))
【実践例①】気温に対する反応
- 「暑い」ではなく「暑さを経験している」
- 「寒い」ではなく「寒さを経験している」
【実践例②】痛覚などに対する反応
- 「痛い」ではなく「痛みを経験している」
- 限度あり。私見では、予防接種の注射の痛み程度であれば実践可。
- 「かゆい」ではなく「かゆみを経験している」
- 先日、11月にも関わらず公園で蚊に刺されましたが、「これも訓練!」とポジティブに捉えることができました笑
【実践例③】ネガティブな出来事や思考に対する反応
- 目の前でゴミのポイ捨てをする人間を見かけた際、不快になるのではなく「自分を不快にさせ得る出来事が起きた」と考える。
- 過去の嫌な思い出や、将来の良くない想像が頭に浮かんだ場合、「自分を不快にさせ得る思考が生じた」と捉える。(→もちろんある程度はネガティブな気持ちになりますが、その度合いは軽減できていると感じます)
特に【実践例③】は極めて難易度が高いものの、それでも「自分の反応の最終決定権は、自分が握っている」と認識するだけで、メンタルの安定度が増しました。
まとめ
私の認識では、およそ7〜8年前に「マインドフルネス」という言葉が取り上げられ始め、スマホ中毒に対抗する策として近年注目度が増しているように思います。
その火付け役となったのが本書”Search Inside Yourself”で、まさに現代人必読の名著だと感じました。
「感情と反応を分ける」、おすすめです(^ ^)
(余談)
今回、英語学習も兼ねて英語の原書を読みましたが、語彙レベルがやや難しめで苦戦しました。
語彙力に自信のある方は、ぜひ原書にトライしてみてください。
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