私の父は読書家です。
歴史小説(藤沢周平、司馬遼太郎、山本周五郎など)をメインに、
日経ビジネスや文藝春秋も定期購読しています。
また、私や兄が帰省する度に、最近読んだお勧め本について活き活きと話してくれます。
そんな父ですが、最近親(=私の祖父母)の介護が終わり、ようやく自分の時間ができました。
この時間の使い方について、父本人も色々と考えていますが、
私としては是非とも父にブログを書いて欲しいと思っています。
先日帰省した際にゆっくり父と話す機会があり、
そこで「他人の行動変容の促し方」について感じたことをまとめました。
人付き合いに関して、何らかの参考になれば嬉しいです。
(参考)ティモン父の属性情報
- 地元の国公立大学の修士課程を卒業後、メーカーにエンジニアとして定年まで勤める。
- 現役中は、朝6時に家を出て24時頃に帰宅 & 休日のサービス残業が当たり前の超ハードワーカーだった。
- 働きながら博士号も取得した努力家。
- 文章には一家言あり。ティモンの転職活動時には、職務経歴書や志望動機書をかなり添削してもらいました。
大前提:「他人は変えられない」
前提として、他人は変えられません。
いくら相手にとって「こうなって欲しい!」と思い、有
用な情報を整理して伝えたとしても、最終的に変わるかどうかは相手の問題です。
ここの線引きを誤ると、あらゆる人間関係が窮屈になってしまいます。
ベストセラー『嫌われる勇気』の中で「課題の分離」として説明されているもので、
豊かな人生を送るために必須のスキルです。
本書に登場する「水飲み場に馬を連れていくことはできるが、水を飲むかどうかは馬次第」という例え話は、
今でもよく覚えています。
また、以下の動画では「他人は変えられないが、気づきの種はまける」と説明されていて、非常に納得しました。
管理人のつぶやき世の中の多くの人が、自分の影響の輪を越えて人を変えようとして苦しい思いをするか、逆に種まきをまったくせずに諦観するかのどちらかに陥っていると感じます。
私自身も、特に仕事関係で「課題の分離」の大切さと難しさを日々痛感しています。
以下、「他人は変えられないが、気づきの種はまける」を前提として、
私が父にブログを勧める際に意識したテクニックを紹介します。
行動変容を促すテクニック
相手の「今」を認める
「こうした方がいい」という話は、
気をつけなければ「あなたの今の状態はダメだから、これをすべき」という現状否定と受け取られかねません。
そうなった瞬間、提案を受け入れる心のスペースは無くなってしまいます。
そのため、まずは今の状態をなるべく具体的に承認することが大切です。
今回のケースでは、「息子である私の目から見て、父は毎日のように畑仕事をして、図書館に通って、
時々母と旅行に行って、既に十分充実した老後を送っている。その上で・・・」という流れで伝えました。
これによって、まずは話の導入部分で「ちょっと話を聞いてみようか」という姿勢になってくれたと思います。
相手にとってのメリットを伝える
次に、「相手にとってのメリット」を伝えます。
当たり前のことのように思えて、これも気をつけなければ「一般的なメリット」や
「自分の考えるメリット」を伝えているだけになりかねません。
例えばランニングを人に勧める時、ダイエット効果をメリットと感じる人もいれば、
走っている最中はデジタルデトックスができて集中力が増すことをメリットと感じる人もいます。
「相手の価値観では何をメリットと感じるか」を考えた上で、
どのメリットをどのように伝えるかは吟味する必要があります。
今回のケースでは、私なりに父の価値観や今の状況を考慮して、
以下のようにメリットを伝えました。(随所で「現状の承認」も意識しています)
ブログは認知症防止に最適
現在、父の年齢は69歳。
認知症の心配は今は全くありませんが、この先どうなるかは分かりません。
その点、ブログは文章力や思考力を磨いてくれる絶好のツールです。
読者という「外とのつながり」ができることも、日々の生活に刺激を与えてくれます。
父の読書量は相当なものですが、
今は「インプット過多」の状態になっていて好ましくないことは、父自身も認識している様子でした。
「ブログを書く」というアウトプットの習慣は、
この先まだ10年、20年と続いていく老後人生において、大きなメリットをもたらすことを熱く伝えました。
ブログは社会貢献のツール
父が様々な本の書評を書いた場合、それを面白いと思う人は絶対にいるはずです。
「この有益な情報を、私や兄だけに留めておくのはもったいない!」というアイメッセージを伝えたところ、
少しですが父の心が動いたのを感じました。
また、70歳を目前にした父の心理を想像したところ、
「残りの人生で、自分は後世に何を遺せるか」について考えていると推測します。
前述のとおり父は超ハードワーカーだったので、仕事面では一定の満足をしているのではないかと思います。
また家庭面でも、私を含めて3人の子供を育て上げ、今ではそれぞれが家族を持って、仕事を一生懸命やっています。
ブログを書くことで、さらに広い社会の範囲に対して、恒久的に良い影響を与えることができる。
これは父にとって絶大なメリットになると確信しています。
スモールスタートを提示する
上記のメリットを伝えて興味を持ってくれたとして、次に直面する課題が「どうやれば良いのか分からない」です。
パソコンに決して詳しくない父にとって、
いきなりWordPressでブログを開設して記事を書き始めるのは相当にハードルが高いです。
そこでまずは、Amazonや楽天ブックスで書評を投稿してみるように伝えましたが、
現時点ではそれも腰が重いようなので、「個人的に書評を書き溜めていくこと」を提案しました。
”Make It Easy”のテクニックを意識しつつ、あの手この手で初動のハードルを下げる方法を考えています。
今後、書評投稿に慣れてきたら、次の父の誕生日に、はてなブログをプレゼントするつもりです。
59歳の誕生日に息子からプレゼントされたWordPressブログを続けた結果、
本の出版に至った「りっつんブログ」さんのようなサクセスストーリーになったらいいな〜、と夢想しています。
まとめ
今回は、私が父にブログ開設を勧めたお話を題材に「他人の行動変容を促す方法」について書きました。
大事な前提として、他人は変えられませんが、気づきの種をまくことは可能です。
父がすぐには行動を起こさなかったとしても、今はタイミングではなかったということ。
ブログは父の人生を間違いなく豊かにすると思っているので、「影響の輪」を意識しつつ、
今後もしつこく種まきを続けます(^ ^)
そして、人に勧めている手前、私自身がブログを続けます!




