上司の勧めで、「アイデアのつくり方」という本を読みました。
初版はなんと1940年。ビジネス書の古典的名著ともいうべき本です。
物理的には100ページと薄いですが、中身は示唆に富んでいました。
自分の備忘を兼ねて、今回はこの本の内容をまとめました。
本書の内容
この本の要点は以下の3つです。
① 大原則:アイデアとは、既存の物事の組合せ以外の何物でもない。
② 良い組合せを見つけるためには、「関連性を探ろうとする心の習性」が必要。これは後天的に鍛えられる。
③ 良いアイデアが生まれる過程は、5段階から成る。(資料収集、咀嚼、無意識に任せる、アイデアの誕生、具体化)
上記のうち③について、「良いアイデアが生まれる過程の5段階」の詳細は以下のとおりです。
(注)原書の日本語は難解だったため言葉はいくらか変えた上で、私視点のメモとつぶやきを差し込んでいます。
【Step.1】資料収集
- 集めるべき情報には、特殊資料(自分の生活や仕事に直接的に関わる情報)と一般情報(あらゆるジャンルの情報)がある。特に一般情報をどれだけ持っているかが、良い組合せを見つけるためには重要。直接的 / 間接的に知識を増やすこと。
- 収集時のテクニックとして、「KJ法」や「スクラップ・ブック」のような、情報の断片を蓄積する仕組みを作る。
- 多くの人は、このStep.1を軽視するか、十分に行わない。
それ単体では意味を持たないような「情報の断片」を蓄積することの大切さは強く感じます。
今の自分の価値観で有益 / 無益を判断するのは危険で、あっという間に視野狭窄に陥りかねません。役に立つかどうか分からないことに身を投じる =「無駄を楽しむ」ことは、たとえ仕事に活きなかったとしても、好奇心豊かな充実した人生を送るために必須です。
情報のまとめ方について、「美しく、体系的に整理したい」という気持ちから、過去には色々なツールに手を出してきた私ですが、今はとにかく蓄積することを最優先にしています。
最近のツールは、デジタル(Apple純正のメモ帳)とアナログ(紙のノート1冊)で各1種類としています。ツールの条件は「シンプルであること」の1点です。
【Step.2】咀嚼する
- 集めた情報同士の関連性を、意識的に探す。
- 「心の触角」とでもいうべき器官で、一つの情報を様々な角度から見る。
- 字義通り解釈しない方が一層早くその意味が分かる場合がよくある。
【Step.3】無意識に任せる
- Step.2の「意識的な思考」を一通り終えたら、問題を一旦心の外に放り出す。組合せを探す仕事を、無意識の領域に任せる。
- その代わりに、自分の想像力や感情を刺激するものに心を移す。
- 食物の消化過程に例えれば、胃で消化をしている段階。意識的に何かをするのではなく、胃液の分泌を促す。
クリエイティブな人はほぼ例外なく多趣味な印象があります。趣味とはすなわち、「自分の想像力や感情を刺激するもの」を持っていることと同義です。
私もセルフ・マネジメントの観点で「没頭できるもの」を探していましたが、アイデアの創造という点でも有用であることをこの本から学びました。
最近は筋トレ & SF小説を読む習慣が良い感じです。特に小説「三体」の3部作は久しぶりに寝食を忘れて没頭するレベルの面白さで、一気に読んでしまいました。
【Step.4】アイデアの誕生
- 無意識下での思考を続けていると、その到来を期待していない瞬間(散歩中、入浴中、睡眠中など)に、アイデアが降りてくる(ことがある)。
散歩中や入浴中にアイデアが閃くことは、一般的にもよく言われています。無意識で進行している思考が、意外なタイミングで有効な「断片の組合せ」を見つける感覚は、私も味わったことがあります。
個人的には、風水も同じ効果を狙っているように思います。金運アップや人間関係の改善を期待して、壁紙の色を変えたり誕生石を持ち歩いたりすることで、その目的に関連する情報を脳が無意識に探し始める「プライミング効果」がはたらくと考えています。
【Step.5 】アイデアの具体化
- 閃いたアイデアは、(直感に反して)そのままでは世の中に出せるものではない。現実に求められる過酷な条件や世知辛さに適合させる過程が必要。
- 多くの良いアイデアが、この段階で淘汰されていく。
- ここで大切なのは、勇気を持って、理解ある人の批判を仰ぐこと。
私がこのブログを書く時も、まったく同じ葛藤を毎回味わっています。
「これは良い記事になる!」と思って書き始めるも、思ったより筆が進まなかったり、ある程度書き上げてから読み返すと「なんだか当たり前のことばかり言ってるな」と感じて大幅に削除したりすることは頻繁にあります。
この葛藤を抜け出すため、数ヶ月前からリアルな関係の人に読んでもらい、感想を頂くことを始めています。(皆さん気を遣っているのかもしれませんが)大抵の方は私の予想よりも好意的な感想を伝えてくださいます。ポジティブに受け止めて、これからも執筆活動を頑張ります!
本書の「解説」について
この本の最後には、地球物理学者・竹内 均氏による解説が付いています。
全体の4分の1にあたる25ページという紙幅を割いている点は驚きでした。
Amazonレビューではなぜかこの解説に否定的な意見が見られましたが、私は良いことを書いていると感じたので、特に刺さった点をメモします。
竹内先生は「継続の天才」という私好みのタイトルの本も書かれているようなので、何冊か読んでみようと思います。
- パレートの法則のポイントは、大事なことを見抜き、それを先にやること。20:80という数字はさほど重要でない。
- 方法論や道具に凝るのではなく、直ちに仕事を始めよ。
- ①好きなことをやり、②それで食べることができ、③さらにそれが些かでも他人の役に立った人生が、自己実現の人生であり、理想の人生である。
まとめと一言
今回は、有名なビジネス書「アイデアのつくり方」の読書メモを記事にしました。
まさに時代を越えて読み継がれる名著で、1年に1回は本書やこの記事を読み返そうと思います。
最後に、記事で触れた「三体」と、私が過去にハマったSF小説を紹介します。
年末年始に読む本を探している方はぜひご検討ください(^ ^)