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【読書メモ】News Diet

この記事はプロモーションを含みます

今回は、「News Diet  情報があふれる世界でよりよく生きる方法」という本を紹介します。

著者のロルフ・ドベリ氏は、スイス生まれの作家・実業家で、”Think Clearly”などの世界的ベストセラーを複数出しています。

この本の要旨は「ニュースを生活から排除しよう。今すぐに」というものです。
ニュースを読むことの無益さ、そして精神面への有害性について、1冊を通して熱く語られています。その批判の激しさたるや、「この人はニュースに親を殺されたのだろうか」と思うほどです。

私がこの本を読んだのは、約2年前の2022年7月のことでした。
以来、それまで毎日のように閲覧していたYahoo!ニュースをほぼ見ない生活を続けており、明らかにQOLが上がったのを感じています。

現時点での自分の思考の整理と、この良書を少しでも多くの方に知っていただくことを目的に、今回の記事を書きます。

目次

本書の概要と注意点

「ニュースダイエット」とは――「ニュース」をあなたの生活から完全に排除すること。情報があふれる世界で、よりよく生きるための唯一の方法である。ニュースは私たちの精神を鈍らせ、本当に重要なことから目をそらさせ、意志の力を麻痺させる。何年も前から「ニュースなしの生活」を送っている著者が、みずからの体験をもとに、「ニュースダイエット」の方法と効用について語り尽くす。

サンマーク出版HPより)

この本でいう「ニュース」とは、「主にネットで見られるような、新しい情報をできるだけ早く発信する点のみに重きが置かれた短い記事」を指します。起きた出来事の事情や問題点を詳細に解説する報道とは区別されるべき、と著者は説いています。

読書メモ

ドベリ氏の主張のうち、特に刺さった箇所と、考えたことをまとめました。
本書の主たる内容である「ニュースの有害性そのもの」については既知のものも多かったので、それ以外の部分を中心にピックアップしました。

私達は時間の浪費家

古代ローマの偉大な哲学者、セネカはすでに2000年前にこう疑問を呈している。
「お金のことになると私達は倹約家になる。それなのに、時間に関してはとんでもない浪費家になる。―――私達が本当に倹約すべき唯一の財産は、時間だというのに」

News Diet P.91

上記はおそらく、セネカの代表的著作「生の短さについて」からの引用と思われます。
セネカのこの本、私は学生時代に読んで感銘を受けたはずなのですが、それ以降ももったいない時間の使い方を山ほどしてきました。
最近でも、休日に昼寝をしすぎてしまう度に激しい後悔に襲われ、人間の「喉元すぎれば熱さを忘れる能力」の高さを痛感します。

「人生二度なし」を意識し続けるためのツール

現在の私の座右の銘は「人生二度なし」です。
尊敬する森信三先生の著書のタイトルから拝借していますが、座右の銘にしてもなお、すぐにこのことを忘れてしまう自分が嫌になります。

こういう時こそ、環境設定の出番です。
YoutuberのNas Daily氏にヒントを得て、「余命表示アプリ」をインストールすることにしました。
(※彼はいつも自分の残寿命をバッテリー表示したTシャツを着ています)

3個ほどのアプリを比較検討した結果、「Life Left」というアプリに決定しました。
400円の買い切り型で広告非表示にできるので即購入。シンプルながら、まさに私が求めていたアプリです。

特に、”Month Blocks”という画面が秀逸です。
今までにどれだけの月を消費してきたか & どれだけの月が残されているかが一目瞭然で、さらには最後の1月が赤く表示されます。

Month Blocks

最初にこの画面を見た時、しばらく右下の赤い四角から目を離せませんでした。
「この月に、自分はどこでどんな風に死ぬのか」「どんな外見になっているか」「妻や兄姉は存命か」「子どもたちは幸せに暮らしているか」「孫はいるのか」そして、「自分は人生に満足しているだろうか」など、色々な思考が頭を巡りました。

さらに”Numbers”という画面では、余命を「年・月・週・日・時間・分・秒」に換算した数字が一覧表示されます。最上段の秒数は常にカウントダウンを続けているのを見ると、自然と背筋が伸びます。

Numbers

もちろん、平均寿命まで生きられる保証はどこにもありません。ただ間違いなく言えるのは、余命を意識することで、時間の使い方にシビアになれるということです。

「ニュース断ち」には3段階ある

ドベリ氏によると、ニュースを断とうと決めた人は、以下の3段階を経験するとのことです。

  • 第1段階(最初の30日間): ニュースを消費しないよう、文字通り自分に無理をしなくてはならない。ニュースを求める衝動はまだあって、それを意志の力で抑えている。
  • 第2段階:衝動が消えて、意志の力を動員する必要もほとんど感じなくなってくる。ニュースを知りたいと言う欲求自体がなくなる。
  • 第3段階: ニュースに嫌悪さえ感じるようになる。”ニュース・クリーン”で、 自分の人生を取り戻したのだ。

私は2022年7月から「ニュース断ち」の挑戦を始め、まさに上記のステップを辿ってきました。
そして2024年5月現在、ほぼ「第3段階」の境地に到達しています。今でも月に1〜2回ニュースサイトを見てしまう時はありますが、その度に「自分の人生には必要のないものだ」という確信を深めています。(ただ、どうしても大谷選手のホームラン数だけは定期的に気になってしまうのです…!)

「そろそろ明らかになってきた。新しいことは何もないのだ」とマックス・フリッシュはメディアについて書いている。この見立ては永遠に有効だろう。

New Diet P.173

そう、私にもようやく分かってきました。
「ニュース」と呼ばれているものの中に、私の人生に影響を及ぼすような新しいことは何もないのです。

摂取する情報の大切さ

2000年前に エピクテトスによってもたらされた、こんな哲学的論拠もある。「どこに注意を向けるかによって、あなたがどんな人物になるかが決まる。(中略)どんな思考やイメージで頭を満たすかを自分で決めなくては、あなたの代わりに他の誰かがそれを決めてしまうだろう」

News Diet P.197

人生は、劇的な一瞬ではなく小さな変化の積み重ねによって、少しずつ良くなっていくものです。
その意味で、「どのような情報を習慣的に摂取するか」は、最も重要な要素です。
自分の人生に関係ないことが分かりきっているニュースとの接触を断ち、その時間を読書(Kindle)に置き換えてきた2年前の自分の判断は、極めてナイスだったと断言できます。

現実を受け入れる & 未来への提言

本書を読み進めながら、つい熱が入ってニュースへの怒りや、「ニュースを駆逐せねば」といった義憤に近い感情を抱きました。そんな私の状態を見透かしているかのように、ドベリ氏はこう語りかけます。

この種の馬鹿げたことを、世界から一掃しようとするのはやめた方がいい。
まず、そんなことをしてもうまくいかない。世界の不合理が解消される前に、あなたの正気が保てなくなる。残念ながらそれが現実だ。(中略)現状をそのまま受け入れたほうが、よい人生を送ることができる。

News Diet P.180

結局のところ、人生の究極の目的は「 自分と周囲の大切な人が、ご機嫌でいること」。
そのためには自分の人生に集中して、「影響の輪」の外側にヤキモキしないことが肝要です。

ただし、この点に関してドベリ氏は無策という訳ではなく、以下のような提言もされています。

それでも、ニュースを断ってメディアの質に期待をかける人が増えれば、その分、そうしたビジネスモデルがいつか実現する可能性も高くなる。
変化は――健康的な食生活への変化がそうだったように――消費者側から起こさなくてはならない。

News Diet P.217

私たち消費者が変わることで、緩やかだが変化を起こせる。この言葉だけでも、十分希望の光を与えてくれます。

私が今回この記事を書いたのも、本書を紹介することで、微力ながら「くだらないニュースの減った社会」の実現に貢献したいと思ったからです。

まとめ

今回は私のおすすめ本「News Diet」を紹介しました。
著者のドベリ氏の思考力の高さに感嘆するとともに、本書で紹介されている2000年以上前の哲学者たち(セネカやエピクテトス)の言葉に、本質的なことはどの時代も変わらないことを実感します。

本書に興味を持たれた方はぜひお読みいただき、私と一緒に「ニュース断ち」にトライしていただけたら嬉しいです(^ ^)

編集後記

本書の原書はドイツ語のようです。固い内容にも関わらず、読みやすい文章でした。訳を務めた安原実津さんに感謝します。
AIによって翻訳作業の効率化はできても、このような質の高い翻訳には今後も人の手が必要でしょう。
私もAIに代替されない文章力を身につけて、良質な記事を書けるよう精進します!

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この記事を書いた人

良い習慣と「ハクナ・マタタ」の精神で、充実した人生を目指す30代男です。
異業種ベンチャーへの転職を機に、ブログとTwitterを始めました。

【興味・関心】
 読書、英語学習(TOEIC 現在935)、子育て、筋トレ、資産形成

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