読書の秋です。
同じジャンルの本を何冊か読んでいると、矛盾する意見に遭遇することが多々あります。
そんな時、本に唯一絶対の答えを求めていると混乱に陥ります。
この状況に対して「自分の頭で考えよ」というアドバイスがありますが、これ単体ではどうにも具体的ではありません。
そこで今回は、「自分の頭で考えながら、有意義な読書をするためにはどうすべきか」を、なるべく自分の頭で考えてみました。
線を引きながら読む with 3色ペン
1つ目は物理的なアプローチで、「3色ペンで線を引きながら読む」というものです。
私は学生時代に、その名も「三色ボールペンで読む日本語」という齋藤孝先生の本を読んで以来、この方法を実践しています。
この本では
・まあ大事なところ:青線
・すごく大事なところ:赤線
・おもしろいと感じたところ:緑線
という分類を提唱していますが、現在の私(Kindle派)は以下の色分けに落ち着いています。
【読書時の線の色分け】(管理人の場合)
・赤色:著者の大事な主張
・黄色:自分にとって有益な情報
・青色:著者の主張に納得できない箇所
上記に加えて、特に青色でハイライトした箇所には、「自分が納得できない理由」をメモします。
後から読み返した時に、当時の自分の思考の跡を確認できるようにしておくことが大切です。
齋藤先生も書かれていますが、色の数は3色がベストです。4色では毎回「何色を使うべきか」の認知コストが大きくなります。
※色に対する感覚は人それぞれなので、色の内訳は個人の好みでよいと思っています。
スタンスを決めて読む
2つ目はマインド面のアプローチとして、「スタンスを決める」ことです。
まずはどのような本を読む時も、表紙を開く前に「この本にはこんなことが書いてあるだろう(書いてあると嬉しい)」という仮説を立てます。
続けて、以下のどちらのスタンスで読み始めるかを決めます。
【スタンス①】判断ありで読む
【スタンス②】判断なしで読む
多くの場合、【スタンス①】で読むべきです。
すなわち3色ペンで線を引きながら、著者の主張に同意できる部分、同意できない部分、今の自分に活かせる部分を判別しながら読み進めます。
ただし、この【スタイル①】では、現在の自分が納得できるものしか取り込まないため、ブレイクスルーが起きにくいのが欠点です。
例えば朝活の素晴らしさを説く本があったとしても、「自分は夜型人間だからムリ」と思っている人には刺さりません。読んだ直後は「それなりにいいことが書いてあるな」と思っても、2週間後には本の内容を忘れているでしょう。
そこで、もう一つの【スタンス②】(判断なしで読む)を使います。
すなわち、あえて自分の判断を排除して、とことんこの著者の考えに染まるつもりで読んでいきます。
このスタンスは、書籍「降伏論」に書かれているものです。自分の今までの意思決定がポンコツだったと降伏し、誰かひとりの言うことをとことん実践してみることで初めて人は変われるという、なかなかにマッチョな教えです。
この【スタンス②】を採用する時の最大の注意点は、「誰の本を選ぶかの時点で、既に自分の判断が入らざるを得ない」ことだと思っています。
変な人の本を選んでしまっては大変です。
大事故を回避しながら行動変容を起こすべく、【スタンス②】を実践するためのアクションプランを以下に書きます。
Step.1 そのジャンルの比較的メジャーどころの本を、著者を変えて3冊読む。
Step.2 3冊に「共通する部分」と「矛盾する部分」が出てくる。
Step.3 「どれが今の自分にとって有益な考え方か」という視点で考える。【←重要!】
Step.4 有益な部分が多い著者の本を、【スタンス②】で繰り返し読む。内容は即時行動に移す。
特にStep.3において、単に「読んでいて心地よい本」ではなく、頭に汗をかかせるような本を積極的に選ぶようにします。
なお、スタンス①②のどちらで読もうとも、人は2週間後にはほとんど元の思考習慣に戻ります。
それを避けるためには、習慣化の環境設定をその時にしてしまうことです。(ここが個人的に最重要ポイントと考えます)
実際には【スタンス②】を採用したとしてもブレイクスルーが起こることは稀です。とにかく、「歯車の1回転目を回す」ことが最も重要です。
まとめ
今回は、「自分の頭で考えながら本を読む」ことを実践するために、有効と考える方法を書きました。
私は知識・偏差値重視の詰め込み教育で育った世代の一人として、特に社会人生活の初期は「自分の頭で考える力」がとびきり弱い部類の人間だったと思います。
恥ずかしながら、「社会には正解がないことの方が圧倒的に多い」という当たり前の事実を認識するまでに、結構な時間を要しました。
ある時に「正解思考」からようやく脱却できた時、時代や環境を恨みたくなる気持ちもありましたが、今ではそのような時期を経験したからこそ、自分の頭で考えることの大切さをより深く理解できるとポジティブに捉えています。
最後に「自分の頭で考える」に関連して、京都大学の名誉教授が書かれたコラムが秀逸だったのでシェアします。まさに私もこの話に出てくる学生と同じだったな〜という物悲しい感想を抱きました。
自分の頭で考える習慣を持たないと、あっという間に脳はフニャフニャになってしまいます。
そして考えることは書くこと。
そう信じて、これからもブログを更新します。
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