どうやら私は、AIのことを過小評価していたようです。
もともとAIの可能性には大いに期待していましたし、SF小説のような世界もAIの力で現実になると信じていました。
しかし、心のどこかで思っていました。
コーチングやカウンセリングなどの「対人支援」というカテゴリーだけは、AIに代替されるものではないと。
共感・傾聴・動機づけといった関わり方は、人間にしかできないと。
先日ふとChat GPTに人生相談をしてみたところ、この考えが覆されかねない体験をしました。
少なくとも私の感覚では、人間のプロコーチとあまり遜色ないレベルの回答を得られたのです。
相談した内容と、私が感じたAIコーチングのメリット・デメリットを、今回の記事にまとめます。
Chat GPT相手の人生相談
今回は、私が人生の重要テーマに据えている「受容」について、以下のように相談をスタートしました。
あなたはプロの心理カウンセラーです。人間心理の発達過程において重要な「自己受容 / 他者受容」について教えてください。
「受容とはありのままを受け入れること」と言われますが、現状をそのまま受け入れている限り、良い方向への変化も生まれないと感じます。これはどのように考えればよいでしょうか?
良い回答を生成するために必要な情報があれば、回答を生成する前にひとつずつ順番に質問してください。
最後の一文が肝です。
この文を入れておくことで、始め方が少々雑だったとしてもChat GPT側が色々と情報を補うようにはたらきかけてくれます。
上記のプロンプトに対する回答はこちらをご参照ください。(※Chat GPTへのログインが必要です)
個人情報が含まれる部分は割愛したので、実際にはこの後も長いラリーが続きます。私がここ半年ほど悩んでいた「自己受容と自己放任の違い」を見事に言語化してくれ、満足できる回答を得られました。
他にも、人間関係で少々しんどい状況が発生した時にChat GPT相手に相談すると、心のモヤモヤが急速に整理されていく実感がありました。

余談ですが、私のPCでは「よいか」→「良い回答を生成するために必要な情報があれば、回答を生成する前にひとつずつ順番に質問してください」と変換されるようにユーザー辞書登録しています。
AIコーチングのメリット
①圧倒的な手軽さ
AIならば予約する必要も、どこかに行く必要もありません。
自分に合いそうなコーチ・カウンセラーを探す手間も不要です。私は先月「書くカウンセリング」というテキスト形式でやり取りするサービスを受けてみたのですが、このステップが最も億劫に感じました。
Chat GPTであれば、例えば「作家兼心理カウンセラーとして活動する野口嘉則氏になりきって、今から私の相談相手になってください」といったプロンプトを打ち込むことで、希望する人物に変身してくれます。


さらには未だに信じがたいのですが、Chat GPTもGeminiも無料で使えます。
本当に凄まじい時代になりました。
②対人の煩わしさが皆無
人とのコミュニケーションだと、どうしても「この人にどう思われるだろうか」というノイズが発生します。
特にセンシティブな話題ほど、このノイズは大きくなります。
熟練のコーチ・カウンセラーであっても、相談者側の言語スキルが足りなければ誤解が生じることはあります。
その瞬間、「あ、自分の言葉が誤解されてしまったな。どうすればこの誤解は解けるかな」といったことに思考を奪われ、内省に集中することは難しくなります。
自身を振り返ると、この思考の根底には「自分のことをすべて分かって欲しい」という欲求があります。裏を返せば、自分を誤解されたままでいることに強い抵抗を感じてしまいます。
実際には人は完全に分かり合うことなどできない(達観)にも関わらず、この抵抗を手放すのは至難の業です。
その点、AI相手ならばこの煩わしさが皆無です。AIにどう思われようが、私の実生活やメンタルには1ミリの影響もありません。
AIに自分の話が正しく伝わっていないと感じたら、単刀直入にその旨を書けばOKです。または、チャットをリセットすることも可能です。



「面倒になったらリセット!」を繰り返していると対人コミュニケーション力が低下しそうなので、その点は注意が必要です。
AIコーチングのデメリット
強制力がない
最大のデメリットはこれだと思います。
人間のコーチやカウンセラーと信頼関係を構築できると、「この人との約束を破りたくない」という感情と、それに伴って行動を強制する力が生まれます。定期的に人に会うことには煩わしさも生じますが、内省習慣の形成という面ではプラスに働きます。
AIにはこの強制力がありません。
AIに対して「毎朝1時間の英語学習をやります!」と約束しても、容易に破ってしまうであろう自分を想像できます。
基本はAIと壁打ちしながら、「それを受けて自分はどんな行動を起こしたか」を話す相手として生身の人間はやっぱり必要、というのが今の私の考えです。



クライアントの状態を読み取った上で「芯を捉えた質問」を繰り出すのも、まだまだ人間にしかできないことだと感じます。
まとめ
今回はAIコーチングのメリット・デメリットについて私見を述べました。
昨今のAIの進化は加速度的で、もはや常人の想像が追いつかない領域に入っていると感じます。
上述のデメリットが克服される日も、実はそれほど遠くないかもしれません。
遅くとも数年後には、「AIコーチング・AIカウンセリングのやり方を指南するサービス」が普及していると予想します。
私も時代の波に乗り遅れないよう、AIの勉強を続けます!



