GW中に会った知人から、『今日、誰のために生きる』という本を勧めてもらい、一気に読み終えました。
現代人が忘れてしまった「充実した人生を生きるヒント」の詰まった良書だったので、内容を一部紹介します。
本のあらすじ
アフリカにある、しあわせがずっと続く村、ブンジュ村。約200人が住む小さな村です。
Amazon 書籍紹介文より
アフリカのペンキアート「ティンガティンガ」を学びに行ったSHOGEN(ショーゲン)さんが、この村と出会い、村人と共に生活し、生きる喜びを知っていく物語。
まず、この本は誕生した経緯がドラマチックです。
SHOGENさん(画家としての活動名)は、もともと化粧品会社に勤める普通のサラリーマンでした。
ある日、偶然立ち寄った雑貨屋で出会った1枚のペンキアートに魅せられ、翌日には会社に退職届を出し、その絵を学ぶためにアフリカへ渡りました。
そして、タンザニアの「ブンジュ」という村で絵画を学びながら、村人たちから「幸せに生きる考え方」を学ぶことになります。
その教えがあまりに衝撃的だったため、SHOGENさんは日本に帰国した後、一人でも多くの日本人に伝えるべく、見知らぬ人をつかまえては話しかける活動をしていました。
その中で、作家のひすいこたろうさんに(温泉旅館の風呂場で)出会い、SHOGENさんの話に感銘を受けたひすいさんが書籍化に動いたのでした。
SHOGENさんはひすいさんのことを知らなかったので、この出会いは完全に偶然の産物です。
そのような偶然を経てこの本が刊行されたこと、さらには知人の紹介を経て今この本が私の手元にあることに、感慨深い気持ちになりました。
SHOGENさんの行動力には本当に驚嘆しました。
彼は小さい頃から絵を描くことが好きだったそうです。母親は芸術系の短大卒、兄と弟も芸術系の大学に進学し、SHOGENさん自身もコンクールでたびたび賞をもらうほどでした。
たとえその道に進まずとも、普段から養ってきた「芸術に感動する心」は、人生の重要な決断に深く影響するのでしょう。
ちなみに、SHOGENさんのHPはこちらです。ブンジュ村での修行風景の写真も載っています。
読書メモ
以下、本書の中から特に刺さった箇所の抜粋と、私なりの感想を書きます。
無駄の中に幸せがある
「ショーゲンは、いつも無駄を省いて、効率よく生きようとしているけれど、無駄とか、しょうもないことの中に、幸せっていうものがあるのに、もったいないなあ」
(本書より)
ブンジュ村の人々は、3歳の女の子が「流れ星をつかまえに行きたい」と言うと、その日の夜には村中の大人たちが流れ星を探しに行くのだそうです。
それを見たSHOGENさんが「つかまえられるわけがないからやめよう」と伝えたところ、返ってきたのが上記の言葉でした。続けて、「効率よく考えるのであれば、生まれてすぐ死ねばいい。人はいかに無駄な時間を楽しむのかっていうテーマで生きてるんだよ」という、厳しい言葉も言われたそうです。
「無駄を楽しむ」は本当に大切なことだと感じます。
多くの人が、「何か意味のあることをしなければ」という強迫観念に囚われ、1日の中にタスクを詰め込んでいます。
書籍『限りある時間の使い方』で書かれていた「生産性マインドの罠」というもので、私も現在進行形で見事にこの罠にハマっています。
本来は、「やらなければいけないからやる」ではなく「ただ楽しいからやる」ことこそが、充実した時間の使い方であるはずです。
分かっちゃいるけど難しい。
ただ、ここまで明快に言い切ってもらえると、清々しい気持ちになります。(面と向かって言われると少し凹みそうですが)
体温の乗った言葉
「ショーゲンの言葉には、体温が乗っかってないから、私には伝わらない」
(本書より)
これは、SHOGENさんが3歳の女の子(ザイちゃん)に「お礼を言わないとだめだよ」と伝えたところ、返ってきた言葉です。
当時、村人たちから生き方に関する指摘を度々受けていたSHOGENさんは、「自分も大切なことを分かっている人間だと示したい」と考えており、その意図を見透かされていたそうです。なんという3歳児。
「お礼を言わないとだめだよ」という僕の言葉は、自分の名誉挽回のための言葉であり、ザイちゃんのための言葉ではなかった……
(本書より)
自分の言葉のうち、果たして何割が、自分ではなく相手のために発せられているか。
これは考え始めると深い問いです。意識してみると9割以上は「自分のため」に発しているように思えて絶望的な気持ちになります。
「夢をかなえるゾウ」でガネーシャも言っていたように、心のベクトルが自分に向いている限り、良いコミュニケーションはできません。私は「心のベクトル」を意識しようと決めて1年くらい経ちますが、未だにベクトルがすぐに自分に向いてしまう強力な磁力を感じています。
それにしても、3歳児がこのような思考習慣を獲得しているとは、なんと驚異的な村でしょうか。
ザイちゃんの言葉を胸に刻み、私も「自分の言葉の体温」を意識します。
歓喜する人間
「ショーゲン、歓喜する人間になると、決めてほしい」
(本書より)
「歓喜する人間」は、おそらくこの本の中でも最重要キーワードだと思います。
言い換えると、「自分らしく生きていく覚悟を決めた人間」のことです。
本書では「歓喜する人間の代表的存在」として岡本太郎氏のお話も出てきて、TAROファンの私は嬉しくなりました。「自分の中に毒を持て」は不朽の名著です。
「なると決める」という表現も秀逸です。
一度「こうなりたい」と思っても、次の瞬間から打ち消しの言葉は無限に出てきます。
結局最後は、自分という人間を(ポジティブな方向に)自分で決めつけてしまうことが必要です。
空を見上げる心の余裕・虫の音に耳を傾ける心
ブンジュ村では、「空を見上げる心の余裕」を大切にしています。
SHOGENさんは、朝や昼の挨拶として「ショーゲン、空を見上げている?」と聞かれることがあったそうです。
村の人々は、その日の相手の様子を見て挨拶を変えていて、余裕がなさそうな人にはこの挨拶をしているそうです。
これは、この本の中で数少ない、最近の自分が意識できていた点です。
この本に出会う約1ヶ月前、雨上がりの空の青さに感動して撮影した写真を同僚にシェアするなどしていました。
自然と会話するかのように、虫の音に耳を傾ける感覚を生活の中に取り入れる。
(本書より)
これも、私が実践できていた点です。
実家の周囲は田畑だったので、田植えシーズンになると蛙の大合唱、秋になると鈴虫の音に包まれていました。
その記憶の影響か、虫や蛙の声を聴くと心が落ち着くので、都会暮らしの今でもそれらを聴く機会を意識的に作るようにしています。ちなみに京都の鈴虫寺には3回行きました。
ポレポレ
ブンジュ村のあるタンザニアには、「ポレポレ」という言葉があります。
「ゆっくりゆっくり」という意味で、言葉の響きも平和そのものです。
SHOGENさん曰く、タンザニア人の性格はまさにポレポレで、のんびりした人が圧倒的に多いそうです。
私はこの話を聞いた時、小学生の頃に見た「アフリカ・ポレポレ」というドラマを思い出しました。(2000年:主なキャストは岸谷五朗、薬師丸ひろ子)
当時は「のんびり生きるのが良いよね〜」くらいの感覚でしたが、あれから20年以上が経ち、この言葉の意味を今はより深く理解できます。
まとめ
刺さった点は上記以外にも大量にあるのですが、今回は5つを厳選しました。
最近、人生の目的はシンプルに「自分と周囲の大切な人が、ご機嫌でいられる時間を最大化すること」なのではないかと考えているのですが、その思考の整理を助けてくれる本でした。
共感いただけた方は、ぜひ本書を手にとってみてください!(^ ^)
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