ジムでの筋トレ中、マシンの使用方法を説明するラミネート紙が目に留まりました。
器具の使い方を一通り読んだ後、私が注目したのがここ。
そう、角が綺麗に丸く切り取られているのです。
ジム内に掲示されているその他のラミネート紙も、私が気づいた範囲ではすべて四隅が丸くなっていました。
目的はもちろん安全のためですが、数量を考えると決してすぐに終わる作業ではありません。
スタッフさんの細やかな仕事振りを感じて感動すると同時に、「丁寧さとテキトーさの適切なバランス」について考える機会になったため、今回はそれを記事にしました。
私と同じく、「人としてのバランス感覚」に悩む人の参考になれば嬉しいです。
先端恐怖症の私は、世の中のすべてのクリアファイルの角が最初から丸くなっていれば良いのにといつも思っています。
神は細部に宿る
私の好きな格言の一つに「神は細部に宿る」があります。
19世紀のドイツの美術史家ヴァールブルク、または20世紀の建築家ミース・ファン・デル・ローエが言った言葉とされています。(参考記事)
私も「細部をおろそかにして、良い仕事はできない」という信念のもと、仕事・プライベートでも以下のようなことに気をつけながら過ごしています。
- カレンダーの予定は、種別ごとに色分けする。
- メールやSlackの文面は、句読点の位置まで細かくチェックする。
- 靴ひもを結ぶ際、左右の長さを正確に揃える。
- 本棚の本を、大きさごとに並べる。
- 服をクローゼットに掛ける際、すべて同じ方向に揃える。
私の前職では、工事現場に出向することがありました。
そこで頻繁に目にしたスローガンが、ABC=「当たり前のことを、バカにせず、ちゃんとやる」でした。
四字熟語では「凡事徹底」。これも私の好きな言葉です。
人としてのバランス感覚
この格言自体は素晴らしいのですが、汎用性の高さ故に、「丁寧な仕事が大切だよね〜」という文脈でとりあえず言っておけばOK的な雰囲気があります。
現実には100%までこだわれる場合は少なく、有限な時間の中でベターな結果を出さなければいけません。
美術家や建築家といった、一つの傑作を生み出すことに専心する職業と、一般的な企業勤めのサラリーマンでは、そもそもの土俵が違います。
ここで、私の学生時代以来の問題である「丁寧さとテキトーさの最適なバランスはどこか」という議論が(私の脳内で)巻き起こります。
私は、秩序立てられた環境に身を置き、効率と丁寧さを追求しながら生きたいと願う人間です。
同時に、これも度が過ぎるとネガティブな影響が無視できなくなります。自分が大丈夫でも、周囲の人々が窮屈になるおそれがあります。
こんな時に果たしてどうすべきか。34歳になった今も、模索する日々です。
感覚にフォーカスせよ
結局のところ、「自分がどう感じるか」が一番大事だと感じています。
その思考・行動によって幸せになっている量と、しんどくなっている量の、どちらが大きいか。
定量化できるものではなく、自分の手に胸を当てて慎重に感じる必要があります。
例えば私は、「整理された机で仕事をしたい」という気持ちがあります。
これも前職の経験で、TPS(トヨタ生産方式)の「物を探す時間が一番ムダ」という考え方が染み付いているため、文房具など決まった場所からすぐに取り出せる状態にしています。
そのような机で働くことは「気持ち良い」と感じるため、少なくとも自分に関してはこれからも続けていきます。
一方で、これを他人にも求めると途端に苦しさが増すため、ある時期から求めなくなりました。今では、「私の机と自分の机を見比べて、いつか気づいてくれたらいいな」くらいのスタンスに落ち着きました。
自分の感情・感覚に正直になることは、簡単そうに見えて意外に難しいものです。
特に大人になってから、「考えること」をやりすぎて、「感じること」が年々下手になっていると感じています。
ここで有効な方法の一つが、使う言葉を変えること。
具体的には、別の記事でも書いた「でも」の封印です。
「でも」という言葉が脳内に浮かぶ時、たいていは考えすぎています。
そのサインに気づき、「自分は本当はどうしたいか」をニュートラルに感じようとすることで、より良い選択をできる確率が上がるはずです。
まとめ
今回はジムで見かけたラミネートの角から考えを膨らませて、私の人生にとっては重要なテーマについて書きました。
「感覚にフォーカスすること」の難しさはあるものの、誰もが幼少期には(それこそ何も考えずに)できていたことなので、コツさえ取り戻せば今もきっとできるはず。
そう信じて今日も内省を続けます。
編集後記
突然ですが株のお話。
私が通うジム「フィット・イージー」は、7月23日に新規上場を果たしました。私は基本的に個別株を買いませんが、本当に良いサービスなので頑張って欲しいと心から思います。
ちなみにこの記事を書いている8月13日の前週、日経平均が過去最大の下げ幅(-4,451円)を記録しました。こんな時は証券口座の金額を見ないと決めて、静観に徹します。(2020年コロナショックの際に狼狽売りをしてしまった時の教訓。当時は若かった)