先日、“The Power of Habit”という洋書を読了しました。
本書の中で、“Keystone Habit”という言葉が最も印象に残ったため、感じたことをまとめておきたいと思います。
私と同様、習慣形成についてお悩みの方にとって、何らかのヒントになれば幸いです。

洋書を読んでいるのは、「英語学習と読書を同時並行で行おう」という魂胆があります。以前にこちらの記事で書いた、「まとめられるものは、まとめる」というテクニックの一環です。
今のところは狙いどおり、充実した時間になっています。
Keystone Habitとは
直訳すると「要(かなめ)の習慣」。
その人の生き方全般に影響するような、極めて重要な行動習慣のことを指します。
“The Power of Habit”の第4章では、アルコア社というアルミニウムメーカーの事例が登場します。
1987年、業績不振に喘ぐ同社のCEOに就任したポール・オニール氏は、最初のスピーチで「従業員の安全が最優先事項だ」と宣言して周囲を驚かせました。
従来のCEOが利益拡大に関する話に終始したのとは対照的に、ただ安全の追求のみを掲げた新CEOを見て、直ちにすべての株を売却した大株主もいたようです。
実際にはその後、アルコア社は毎年のように最高益を更新し、オニール氏が退任するまでの13年間で売上高は5倍に増えました。
彼がやったことは、「工場で事故が発生した場合、24時間以内に再発防止策をオニール氏に報告させる」というものでした。このルールを厳格に運用し、違反するケースがあれば容赦なく罰しました。
事故の原因を究明し、生産工程の問題点を明らかにし、速やかに改善につなげること。
さらには多忙を極めるオニール氏へ24時間以内に報告できる管理体制を維持することが、結果的により良い品質管理につながりました。
つまり、オニール氏はアルコア社にとってのKeystone Habitが「安全管理」にあると見抜いていたのです。恐るべき慧眼。



個人的に、彼に白羽の矢を立てた当時の経営陣も同じくらい優秀だと感じます。
Keystone Habitの注意点
アルコア社の事例は「組織にとってのKeystone Habit」ですが、同様の考え方は個人にも適用できます。
Keystone Habitが土台となって、その上に良い行動習慣が連鎖的に築かれ、最終的に人生を大きく好転させるポテンシャルを持っています。
ただ、「これさえやれば人生が全て上手くいく!」と聞けばつい飛びつきたくなりますが、実際にはそんな魔法のような特効薬はありません。
以下に「Keystone Habitを探す上での注意点」を書きます。
見つけるのは容易ではない
Keyston Habitは人生全般に影響を及ぼし得るものだけに、具体的な達成したい目標(例:TOEICで◯◯◯点を取る、ブログを毎週更新する 等)とは一見無関係に思えるものがほとんどです。
さらに、その人のそれまでの人生で形成された価値観によって、何が刺さるかは異なります。
例えば、「毎日、靴を磨くこと」がKeystone Habitになり得る人もいれば、そうでない人もいるでしょう。(靴の綺麗さに関する価値観の違いによる)
このため、いきなりKeystone Habitを見つけられることは少なく、粘り強い試行錯誤が必要になります。
(アルコア社の事例は、オニール氏が凄すぎるとしか言いようがありません)
すぐには結果が出ない
Keystone Habitの確立を難しくする最大の要因が、「すぐには結果が出ない」という点です。
例えば、毎日のトイレ掃除。
これを1日だけやっても意味はなく、最低でも半年〜1年間程度は継続することで、自律心が磨かれ、その他の「目標達成に向けた具体的な行動の継続」につながります。
実際には、多くの人が開始初期(1週〜1ヶ月目あたり)に「今日これをやらなくても、別に何も変わらないのでは」という思考に流され、いつしか辞めてしまいます。(経験談)
対策として、以下の3点を意識することが有効だと考えています。結局、魔法の杖はないのです。
- すぐには結果が出ないことを認識しておく。
- 思考を停止して、「まずは1ヶ月続ける」と決める。
- Keystone Habit的なことを実践していることを、周囲に発信する。(参考記事:私のごみ拾いの習慣)
Keystone Habitと「夢を叶えるゾウ」
ご存知の方も多いと思いますが、上記で例に挙げた「靴磨き」や「トイレ掃除」は、ベストセラーの自己啓発書「夢を叶えるゾウ」に登場する習慣たちです。
たまたま、妻が先週末にブックオフで同書を買ってきたので私も久しぶりに読み返したのですが、この本に出てくる行動のほとんどは、Keyston Habitの一種のように思えてきます。
【夢を叶えるゾウに出てくる習慣の例】
- 靴をみがく
- トイレ掃除をする
- コンビニでお釣りを募金する
- まっすぐ帰宅する
- 毎朝、全身鏡で身だしなみを整える
- 明日の準備をする
- お参りにいく
これらの習慣はすべて、それ自体が目標達成に直接寄与するものではありません。
(同書の序盤で、主人公がガネーシャに対して「靴磨きなんて、何か意味あるんですか」と言ったのはごく自然な反応です)
しかし、“The Power of Habit”を読了した今、これらの行動習慣こそが人生の核になるものだと確信しています。
仮にガネーシャの教えをすべて実践できている人がいれば、間違いなくその人の人生はあらゆる面で充実しているでしょう。



それにしても、再読して改めてこの本の素晴らしさに気づきました。
これだけ深いことを、極めて分かりやすくかつコミカルに説明している本を、私は他に知りません。やはり自分の中での「人に薦めたい自己啓発書No.1」です!(^ ^)
同時に、これだけ価値のある本が、ブックオフでは110円で売られていることに衝撃を受けました。
まとめ
今回の記事では、Keystone Habit(要の習慣)について書きました。
「簡単には見つからないこと」、「結果が出るには時間がかかること」を肝に銘じて、私にとってのKeystone Habit探しの旅を続けたいと思います。




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